
社会人になると、当たり前のように聞く言葉があります。
「昇進したいです」
「次は主任を目指します」
「将来的にはマネージャーになりたいです」
就職活動の面接でも、キャリア面談でも、昇進意欲があることは良いこととして扱われます。
むしろ、
「別に昇進したいとは思いません」
と言うと、少し変わった人に見られることさえあります。
でも最近、私はふと思うようになりました。
昇進や昇格って、本当に全員が目指すべきものなんだろうか。
気づけば「昇進したい」が正解になっている
会社に入ると、不思議なことがあります。
誰も強制していないはずなのに、
- 昇進すること
- 昇格すること
- 管理職になること
が、まるで人生の正解のように扱われています。
学校では偏差値競争がありました。
社会人になると、その競争が役職競争に変わります。
新卒。
主任。
係長。
課長。
部長。
まるでRPGのレベルアップのようです。
レベルが上がるほど偉くなり、給料も増える。
だから自然と、
「上を目指さなければいけない」
と思い込んでしまいます。
でも、昇進した人は本当に幸せそうだろうか
数年働いていると、昇進した人たちを見る機会が増えます。
もちろん、昇進によって仕事の幅が広がり、生き生きしている人もいます。
一方で、
- 会議が増える
- 調整業務が増える
- 評価する側になる
- 責任だけが重くなる
そんな姿も見えてきます。
特に専門職の場合は顕著です。
技術が好きで入社したのに、昇進した結果、
コードを書く時間より会議の時間が長くなる。
コーディングが好きだったのに、人のマネジメントが仕事になる。
営業が好きだったのに、数字管理ばかりになる。
本来やりたかったことから遠ざかってしまう人も少なくありません。
昇進は「成功」ではなく「役割変更」
私たちは時々、昇進を成功そのものだと思ってしまいます。
でも実際には、昇進は成功ではありません。
役割が変わるだけです。
プレイヤーからマネージャーへ。
専門家から管理者へ。
現場から組織運営へ。
向いている人もいれば、向いていない人もいます。
それなのに、
「昇進しない=成長していない」
という空気がどこかにあります。
これは少し不思議なことです。
サッカー選手が優秀だからといって、全員が監督になりたいわけではありません。
料理人が優秀だからといって、全員が経営者になりたいわけでもありません。
それなのに会社では、
優秀なら管理職を目指すべき
という考え方が根強く残っています。
本当に欲しいのは昇進だろうか
ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。
私たちは本当に昇進したいのでしょうか・・・?
それとも、
- 給料を上げたい
- 認められたい
- 安心したい
- 将来への不安を減らしたい
だけなのでしょうか。
もし年収が上がるなら。
もし周囲から認められるなら。
もし将来への不安が減るなら。
役職そのものには、そこまで興味がない人も多いはずです。
つまり私たちが求めているのは昇進ではなく、
昇進によって得られるもの
なのかもしれません。
昇進しない選択もあっていい
最近は働き方も多様化しています。
会社の中で出世する以外にも、
- 専門性を磨く
- 副業を育てる
- フリーランスを目指す
- 起業する
- 家族との時間を優先する
さまざまな選択肢があります。
昔よりも人生のルートは増えました。
それなのに、
「昇進しないといけない」
という価値観だけは昔のまま残っているように感じます。
もちろん昇進を目指すことは素晴らしいことです。
ただ、それが唯一の正解ではありません。
呪縛から自由になるために
私自身、社会人になったばかりの頃は昇進に憧れていました。
早く評価されたい。
早く認められたい。
早く上に行きたい。
そんな気持ちがありました。
でも働き続けるうちに、
「自分が本当に欲しいものは何だろう」
と考えるようになりました。
役職なのか。
収入なのか。
自由な時間なのか。
成長なのか。
あるいは家族との時間なのか。
答えは人それぞれです。
だからこそ、
昇進したい人は昇進を目指せばいい。
昇進したくない人は無理に目指さなくてもいい。
本来はそれだけの話なのだと思います。
おわりに
昇進や昇格そのものを否定したいわけではありません。
ただ、
「昇進したいと思えない自分はおかしいのではないか」
と悩む必要はないと思います。
もしかすると私たちは、
昇進を目指しているのではなく、
昇進を目指すべきだと思い込まされているだけかもしれません。
大切なのは次の役職ではなく、
自分がどんな人生を送りたいのか。
昇進や昇格は、そのための手段のひとつです。
手段が目的になったとき。
その瞬間から、昇進は夢ではなく呪縛になるのかもしれません。

